結論から言うと、シンガポールのONE Pass(Overseas Networks & Expertise Pass)は、月給S$30,000以上(年収約3,400万円相当)の最上位人材か、芸術・スポーツ・科学・学術で「Outstanding Achievement」を持つ人だけが取得できる最強の就労パスです。
EPと違って雇用主に紐付かず、複数の会社で働きながら起業もできる。有効期限は5年(更新可)。シンガポール政府がトップタレントを呼び寄せるために2023年に作った制度で、私の知る限り日本のCEO・有名アーティスト・五輪メダリストレベルの方が取得しています。
ここからは、ONE Passの2つの取得ルート、メリット、申請手順、5年後の更新条件までまとめます。
ONE Pass の2つの取得ルート
ルート①:給与S$30,000/月(直近12ヶ月の実績または確定オファー)
過去12ヶ月で固定月給S$30,000以上を1社の雇用主から受け取った実績、もしくは今後シンガポール会社から同水準のオファーを受けていることが要件です。
- 「過去」ルート: 申請日前12ヶ月、同一雇用主から固定月給S$30,000以上
- 「将来」ルート: シンガポール企業から月給S$30,000以上の雇用契約を取得済み(オファーレターが必要)
賞与・株式報酬・コミッションは含まれません。固定月給だけでこのラインを超える必要があります。年収S$36万 = 月給S$30,000ということです。
ルート②:Outstanding Achievement(業績)ルート
給与基準を満たさなくても、特定分野で「卓越した業績」を持つ人は ONE Pass を取得できます。対象分野は以下の4つ。
- 芸術・文化: 国際的な賞・展覧会、有名劇団・オーケストラの首席など
- スポーツ: オリンピック・世界選手権でのメダル、国際リーグでの実績
- 科学・技術: 著名研究機関での実績、Nobel・Turing賞ノミネート、特許多数
- 学術・研究: 主要大学の教授、引用数が著しく高い論文、国際学会の主要ポジション
業績ルートはMOMが個別に評価するので、画一的な基準はありません。「申請者が世界トップ層であること」を客観的資料で証明する必要があります。
ONE Pass の最強メリット5つ
- 有効期限5年(EPの2〜3年に対して圧倒的)
- 雇用主に紐付かない: 個人ベースのパス。退職・転職で再申請不要
- 複数雇用主で同時に働ける: A社のCEO、B社の取締役、Cスタートアップの顧問、を並行可
- 起業可: 自分の会社を立ち上げてそこで働ける
- 家族の DP/LTVP も sponsor 可: 配偶者・子は DP、親は LTVP(条件あり)
つまり ONE Pass は「働くための制限がほぼない」という、シンガポール就労ビザのなかで唯一の存在です。EP・S Pass は1社に縛られ、副業もLetter of Consentが要りますが、ONE Pass は完全フリー。
私の感覚として、ONE Pass は「噂は聞くけれど、実際の保持者と会ったことはあまりない」レアステータスです。S$30,000/月のハードルは想像より遥かに高く、外資金融のシニアマネジメントや上場企業の役員クラスでようやく届くレベル。多くの方は EP や Tech.Pass の方が現実的な選択肢になります。
ONE Pass 申請の流れ
- MOM の ONE Pass 専用オンライン申請 ポータルへアクセス
- 申請者本人が直接申請(雇用主経由でない)
- 必要書類アップロード:パスポート、過去12ヶ月の給与証明、または業績証明
- 申請料 S$105
- 審査期間 4〜8週間(業績ルートは長め)
- 承認後 IPA letter 発行
- シンガポール入国後 ICA でカード発行(S$225)
EPと違って ONE Pass は本人申請なので、雇用主の都合や雇用主側の COMPASS 評価は影響しません。本人の実績だけで通る/落ちるが決まります。
5年後の更新条件|ハードルが上がる
ONE Pass の更新はEPより厳しく、以下のいずれかを満たす必要があります。
- 過去5年の平均月給がS$30,000以上(シンガポールでの実績)
- シンガポール会社を運営していて、ローカル従業員5人以上を雇用。各従業員はEP最低給与(つまりS$5,600以上)以上の固定月給を受け取っている必要あり
つまり ONE Pass で来た後、シンガポールで「稼ぐ」or「雇う」のどちらかをしっかりやらないと更新できません。観光的な短期滞在には向きません。
ONE Pass vs EP vs Tech.Pass|どれが自分に合う?
| ONE Pass | EP | Tech.Pass | |
|---|---|---|---|
| 給与要件 | S$30,000/月 | S$5,600〜S$10,700 | 過去S$22,500/月 |
| 有効期間 | 5年 | 2〜3年 | 2年(+2年延長) |
| 雇用主紐付 | なし | あり(1社のみ) | なし |
| 複数雇用 | ○ | ×(LOC必要) | ○ |
| 起業 | ○ | × | ○ |
| 家族呼寄 | ○ DP/LTVP | ○ DP(条件あり) | ○ DP |
ONE Pass 取得者のプロファイル例
- 外資銀行アジア統括CEO: 月給S$50,000+、シンガポールでアジア事業を統括
- テック企業の CTO: 過去同社でS$35,000、シンガポールに R&D拠点を立ち上げ
- 有名アーティスト: グラミー賞ノミネートの音楽家、シンガポールで活動拠点
- スポーツ選手: オリンピック金メダリスト、シンガポールでアカデミー設立
- 研究者: 主要大学のフルプロフェッサー、NUS/NTUと共同研究
よくある質問(FAQ)
Q1. ONE Pass は EP からの「アップグレード」?
制度的には別パスなので「アップグレード」ではなく独立した申請です。EPからONE Passへ切り替える場合も新規申請扱い。給与要件を満たしていれば EPホルダーが ONE Pass を申請するのは普通の流れです。
Q2. 過去にS$30,000稼いだ実績がない場合は?
「将来ルート」を使えます。シンガポール会社から月給S$30,000以上の確定雇用契約を取得すれば、過去の実績なしでも申請可能です。ただし「確定オファー」の証明(雇用契約書、雇用主の財務書類)が必要です。
Q3. ONE Pass で起業した会社は、自分も雇用主か?
はい、自分の会社が雇用主になります。ONE Pass holder が自分の会社(自分が株主のPte.Ltd.)から月給を受け取っても問題ありません。むしろこの形は更新時の「ローカル従業員5人雇用」要件に直接つながるので、戦略的に有利です。
Q4. ONE Pass からPRへの切替は?
ONE Pass holder は PR申請も有利です。給与水準・税金・経済貢献度のすべてが高評価項目で、シンガポール政府が「呼び寄せたい人材」と認定したパスを持っているため。実際に2〜3年の滞在後、PR取得に成功する事例が多いです。詳しくはPR申請ガイドを参照してください。
Q5. ONE Pass で日本との二重居住は?
可能ですが、税務上の「居住地」をどちらにするかは慎重に判断する必要があります。シンガポール居住者扱いになると、シンガポール所得税(最大22%、累進)が適用されます。日本で確定申告が必要な所得があれば二重課税回避の手続きも。詳しくはシンガポール税務の記事を参照してください(執筆中)。
まとめ|トップタレントだけが取れる最強パス
- 月給S$30,000 または Outstanding Achievement が必要
- 有効期限5年、雇用主紐付なし、複数雇用・起業可
- 申請料 S$105 + 発行料 S$225(合計S$330)
- 更新は5年平均S$30k/月、または会社経営でローカル5人雇用
- 家族(DP/LTVP)も同時に sponsor 可能
ONE Pass はシンガポール政府が「世界中から最高の人材を呼びたい」という意思で作った制度です。給与基準が高い分、メリットも他のパスとは段違い。すでにシンガポールでビジネスを展開している方、グローバル企業の幹部、業界トップの専門家にとっては、シンガポールに移住するなら一番有利な選択肢です。シンガポールビザ全体の比較はシンガポールのビザ種類を徹底比較でまとめています。
※本記事は2026年4月時点のMOM公式情報を元に作成しています。最新の要件はMOM公式ONE Passページでご確認ください。本記事は法律相談・税務相談を提供するものではありません。
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