結論から言うと、シンガポールで配偶者や子供を呼び寄せるならDependant Pass(DP)、親や事実婚パートナー・継子を呼ぶならLong-Term Visit Pass(LTVP)です。2026年1月から sponsor の最低給与が引き上げられて、DPはS$6,000/月、親LTVPはS$12,000/月が必要になりました。
私自身、シンガポールに移住して家族のVISA手続きを経験しました。正直に言うと、書類の量も用語も最初は分かりにくいです。ここからは、DPとLTVPの違い、最新の要件(2026年版)、申請の流れ、よくある落とし穴までまとめました。
DP と LTVP の違い|どっちを取ればいい?
まず一番大事な分岐がここ。家族構成によってどちらを申請するか決まります。
| 家族の関係 | DP | LTVP |
|---|---|---|
| 法律上の配偶者 | ✅ | — |
| 21歳未満の実子・養子 | ✅ | — |
| 事実婚パートナー(同棲) | — | ✅ |
| 21歳未満の継子(連れ子) | — | ✅ |
| 21歳未満の障害のある子 | — | ✅ |
| 親(父・母) | — | ✅ |
つまり、「結婚証明書がある配偶者」「実子・養子」だけがDP、それ以外の家族関係はすべてLTVPです。同性パートナーはシンガポールでは法律婚が認められないので、たとえ自国で結婚していてもLTVPルートになります。
2026年最新|sponsor の最低給与要件
2026年1月1日からシンガポール人材省(MOM)が要件を引き上げました。新規申請も更新も両方この基準に従います。
- DP の sponsor 要件:固定月給 S$6,000以上(EP・S Pass・EntrePass・ONE Pass・Tech.Pass保持者)
- 配偶者・子供の LTVP(MOM-sponsored):DPの代替パターンとしてEP/SP holderが申請、要件はDP相当
- 親の LTVP(ICA-sponsored):sponsor の固定月給 S$12,000以上+シンガポール市民かPR、または条件を満たすパス保持者
ここで気をつけたいのが「固定月給」の定義です。賞与・コミッション・残業手当は含まれません。基本給+固定手当のみです。年収S$72,000あっても、基本給がS$5,500だと却下されます。
DP(Dependant Pass)の詳細
対象者
- EP・S Pass・EntrePass・ONE Pass・Tech.Pass holder の法律婚の配偶者
- 21歳未満の実子・法的養子(婚外子は出生証明と認知書類が必要)
有効期限
sponsor のメインパス(EP等)の有効期限と連動します。EPが2027年12月まで有効なら、DPも2027年12月まで。sponsorのEP更新と同時にDPも更新する流れです。
DP保持者の就労|LOCが必要
大事なポイント:DP保持者は自動的に就労できません。シンガポールで働きたい場合は以下のいずれかが必要です。
- 自分でEP・S Pass・Work Permitを取得して切り替える
- 雇用主経由でMOMからLetter of Consent(LOC)を取得する
LOCはMOMが雇用主に対して発行する「DP保持者をこの会社で働かせていい」という許可証です。雇用主が申請手続きをします。LOC期間は最大2年または DPの有効期限まで(短い方)。
LTVP(Long-Term Visit Pass)の詳細
LTVPは2種類あります。MOMが発行する「MOM-LTVP」とICAが発行する「ICA-LTVP」です。
MOM-LTVP(働くパス保持者の家族)
- EP/SP holder の事実婚パートナー
- 21歳未満の継子・養子・障害のある子
- 申請主体は雇用主(MOM経由)
ICA-LTVP(市民・PRの家族/親招待)
- シンガポール市民・PRの親(前述のとおりsponsor月給S$12,000以上)
- 市民・PRの配偶者で婚姻歴2年未満(その後にPR申請可能)
- 申請主体は本人または sponsor(ICA e-Service経由)
親LTVPは「相互サポート義務」がある
親招待のLTVPは、sponsor が経済的に親をサポートする「Letter of Undertaking」を提出します。親が医療費を払えなくなったら sponsor が責任を負う仕組みです。シンガポールの公的医療は外国人には高額なので、民間医療保険の加入が事実上必須です。
家族の医療保険についてはシンガポールの医療保険ガイドでEP保持者・家族向けの選び方をまとめているので参考にしてください。
現地で日本人コミュニティを見ていると、DPかLTVPかで一番悩むのが「法律婚していない事実婚パートナー」のケースです。私の周りでも、日本で籍を入れていなかったことに気づいて、急いで入籍してからDPで申請し直した方がいます。書類1枚で扱いが全然違うので、申請前に必ず確認しておきたいポイントです。
DP・LTVP 申請の流れ|手順とタイムライン
DP・MOM-LTVP の申請手順
- 雇用主が EP Online から申請(sponsor 本人ではなく雇用主が代行)
- 必要書類アップロード:パスポート、出生証明、婚姻証明、写真、sponsor のEP情報
- 申請料 S$105(IPA発行料 含む)
- 審査期間 3〜8週間(複雑なケースはもっとかかる)
- 承認後 In-Principle Approval (IPA) letter 発行
- 家族がシンガポール入国(IPA持参)
- 到着後14日以内にICAでDPカード発行
ICA-LTVP(親招待・市民配偶者)の申請手順
- SingPass経由で ICA e-Service にログイン
- e-Form 4A・8 などの該当フォーム入力
- 必要書類アップロード(スキャンPDF)
- 申請料 S$30(処理)+ 承認時 S$60〜S$225(IPA + Multi Journey Visa)
- 審査期間 4〜6週間
- 承認後ICAでLTVPカード発行
必要書類リスト|DP・LTVP 共通の落とし穴
- 申請者・sponsor のパスポート(残存有効期限6ヶ月以上)
- 申請者の白背景写真(35×45mm、3ヶ月以内撮影)
- 婚姻証明書(DP)/出生証明書(子・親)
- sponsor の最新3ヶ月分給与明細
- sponsor の雇用契約書
- シンガポールの居住地証明(賃貸契約 or 公共料金請求書)
落とし穴①:日本の戸籍謄本・婚姻届受理証明書は英訳+公証が必要です。シンガポール大使館で公証してもらう、または日本の翻訳会社に依頼します。費用と時間がかかるので早めに準備しておきましょう。
落とし穴②:海外送金で sponsor が家族の生活費を送る場合、申請時の「家計サポート」を示す履歴として有効です。私はシンガポール↔日本の送金は Wiseで送金していて、履歴が一覧表示できるので家族VISA申請の補助資料としても便利でした。
よくある質問(FAQ)
Q1. DP保持者の妻が出産したら、子供のVISAは?
シンガポールで生まれた外国人の子供には自動的にDPは付与されません。出生から42日以内に新生児用DPを申請する必要があります。子供のパスポートを自国大使館で先に取得して、その後DP申請の流れです。
Q2. DP保持者がPRに切り替えるには?
DP保持者は単独でPR申請できません。EP/SPに切り替えてから個人申請するか、sponsor 配偶者がPR取得 → 「Spouse of PR」枠でPR申請、のどちらかです。詳しくはPR申請ガイドを参照してください。
Q3. 子供がシンガポールで進学するには?
DP保持の子供は MOE(教育省)の Admission Exercise for International Students(AEIS)試験に合格すれば公立校に入学できます。インターナショナルスクールはVISA関係なく入学可能ですが、年間S$30,000〜S$50,000の学費がかかります。
Q4. DP更新を忘れたらどうなる?
DPの有効期限切れ後30日以内なら late renewal が可能です(追加料金あり)。30日を過ぎると不法滞在扱いになり、出国+再入国が必要になることもあります。MOMからリマインダーが届きますが、自分でもカレンダーに登録して管理しましょう。
Q5. PR詐欺と同じような家族VISA詐欺もある?
あります。「家族VISAを確実に取れる」と謳う代行業者は基本的に詐欺です。家族VISA申請も本人または雇用主が直接行うのが原則です。最近のシンガポール移民詐欺の傾向は「シンガポールPR取れます詐欺」に注意でまとめています。
まとめ|家族と一緒に暮らすための最短ルート
- 配偶者・実子=DP(sponsor月給S$6,000以上)
- 事実婚パートナー・継子=MOM-LTVP(同上)
- 親招待=ICA-LTVP(sponsor月給S$12,000以上)
- DP保持者の就労にはLOCが必要
- 更新・切替の手続きを忘れずに(MOM/ICA からのリマインダーをチェック)
シンガポール移住は単身でも大変ですが、家族と一緒だとさらに手続きが多くなります。早めに必要書類を揃えて、sponsor の雇用主とも事前にコミュニケーションを取っておくことが成功のポイントです。シンガポール就労ビザ全体の比較はシンガポールのビザ種類を徹底比較でまとめているので、まだEP/SPを取得していない方はそちらから読んでください。
※本記事は2026年4月時点のMOM・ICA公式情報を元に作成しています。最新の要件はMOM公式・ICA公式でご確認ください。本記事は法律相談を提供するものではありません。
シンガポールのホテル・宿泊
Klook.com
コメント
コメント一覧 (3件)
[…] シンガポールDP・LTVP完全ガイド|家族を呼び寄せるための2026年版2026-04-27 […]
[…] 呼べます。EntrePass holder で月給S$6,000以上を自分の会社から受け取っていれば、配偶者・21歳未満の子をDP(Dependant Pass)で呼び寄せられます。月給S$12,000以上で親もLTVPで呼べます。詳しくはDP/LTVP完全ガイドをご覧ください。 […]
[…] はい、Tech.Pass holder は EP と同様に配偶者・21歳未満の子をDPで呼び寄せできます。Tech.Pass の給与水準は基本的にDP sponsor のS$6,000要件を超えるため、家族呼び寄せは問題ありません。詳しくはDP/LTVP完全ガイドを参照してください。 […]