シンガポールTech.Pass完全ガイド|エンジニア・テック幹部のための2026年版

Tech.Pass 完全ガイド 2026 のアイキャッチ画像

結論から言うと、シンガポールのTech.Passは、テック分野の経験豊富な人材(CTO・テクニカルリード・起業家など)が「複数の会社で同時に働ける」「起業もできる」「家族も呼べる」最強のテック特化ビザです。EDB(経済開発庁)が運営していて、EPと違ってMOMの管轄外。

過去1年で固定月給S$22,500以上か、5年以上のテックリード経験か、巨大ユーザー数or収益のテックプロダクト開発実績のいずれかでQualify。給与基準ではONE Pass(S$30,000)より低く、自由度はEPより高い「中間層トップ」のポジションです。

ここからは、Tech.Passの3つの取得基準、5つの経済活動許可、申請手順、Tech.Pass特有のメリットまでまとめます。

目次

Tech.Pass の3つの取得基準|どれか1つでOK

Tech.Pass は以下の3つの基準のうち少なくとも2つを満たす必要があります(公式の最新運用では2つ以上推奨、状況により1つでも認められる例あり)。

基準①:給与(過去の Last Drawn Salary)

申請日前の最終職で、固定月給S$22,500以上を1年以上受け取った実績があること。賞与・株式報酬は含まず、固定月給だけ。

基準②:リーダーシップ経験

テック企業(時価総額・調達額・ユーザー数で「テック企業」とみなされる規模)で、累計5年以上のシニア・リーダーシップ経験。CTO、VP Engineering、CEO of tech startup などのポジションを想定。

基準③:プロダクト実績

累計5年以上テックプロダクトの開発・主導経験があり、そのプロダクトが以下のいずれかを達成:

  • 月間アクティブユーザー(MAU)100,000以上
  • 年間収益US$100M(約150億円)以上

具体例:Wise、Carousell、Grab、ByteDance、Stripe、Notion などの主要テック企業のシニアエンジニアやプロダクトリードが該当します。

Tech.Pass の最強メリット|5つの経済活動が許可

Tech.Pass保持者は、シンガポール内で以下5つの経済活動を並行して行えます。EPと比べて圧倒的に自由度が高い点です。

  1. テック企業を立ち上げ・経営する(株主、CEO、Director など)
  2. シンガポールの会社に雇用される(複数の会社で並行就労OK)
  3. シンガポール会社の取締役を務める(複数社の Board Member)
  4. 大学・研究機関の客員講師として活動する(NUS、NTU、SMU、SUTD など)
  5. シンガポールスタートアップへの投資・メンタリング(VC、Angel、Advisor)

つまり Tech.Pass は「テックスター人材がシンガポールに来て自由に動ける」ように設計されたパスです。EP では一切できない複数雇用・起業・投資が、Tech.Pass なら全部OK。

Tech.Pass 申請の流れ|EDB主導

  1. EDBの Tech.Pass ポータルから申請(MOMではなくEDB)
  2. 必要書類アップロード:パスポート、過去の雇用証明、給与証明、プロダクト実績証明(メディア記事・公式発表)
  3. 申請料 S$105(IPA発行料 含む)
  4. EDBによる審査:通常 4〜8週間(プロダクト実績ルートは長め)
  5. 承認後 IPA letter 発行
  6. シンガポール入国 → ICAでカード発行(S$225)

EDB はシンガポール政府の経済開発機関で、外資誘致・スタートアップ支援を担当しています。MOMより比較的フレキシブルな審査で、テック人材を呼び寄せたいシンガポール政府の意図が反映されています。

必要書類リスト

  • パスポート(残存6ヶ月以上)
  • 履歴書・LinkedIn(英文)
  • 過去2社以上の雇用証明・給与明細
  • プロダクト実績資料:メディア記事、公式発表、TechCrunch・The Verge 等の記事リンク
  • 役職を証明する公式組織図・名刺
  • 研究実績:論文(該当する場合)
  • シンガポールでの活動計画書

「シンガポールでの活動計画書」がEPと違うところ。「来たらこういう活動をする」を明確に書く必要があります。複数雇用・起業・投資のどれをやるのか、計画レベルでも記載しましょう。

私の感覚として、Tech.Pass は「複数の収入源を持ちたいシニアエンジニア」に刺さるパスです。本業の所属会社に縛られず、副業・コンサル・スタートアップ立ち上げを並行できるのが他のEPと決定的に違います。ただ更新時に「シンガポールで実際に何を作ったか」が問われるので、肩書きだけで取得すると2年後に苦しむ可能性があります。

Tech.Pass の更新条件|2年→2年延長

Tech.Pass は初回2年、満了時に2年延長が可能(合計4年)。延長は新規申請ではなく更新扱いです。延長条件は以下のいずれかを満たすこと。

  • シンガポールでS$240,000以上の年収を得ている(または同等の経済活動)
  • シンガポールでテック企業を立ち上げ運営している(雇用・売上の実績)
  • シンガポール大学・研究機関で役職を持っている
  • シンガポール政府イニシアチブに主要メンバーとして参画
  • シンガポールスタートアップへの大規模投資・指導実績

延長後の4年が満了したら、ONE Pass・EP・PR申請のいずれかへ移行する必要があります。Tech.Pass holder で実績を作った人は ONE Pass か PR への移行がスムーズです。

Tech.Pass vs EP vs ONE Pass|エンジニア視点で比較

Tech.PassEPONE Pass
給与要件S$22,500/月(過去)S$5,600/月〜S$30,000/月
有効期間2+2年2〜3年5年
複数雇用×
起業×
取締役兼任×(LOC必要)
大学講師×
投資・メンタリング×
家族呼寄○ DP/LTVP○ DP(条件あり)○ DP/LTVP
運営機関EDBMOMMOM

選び方の目安:

  • 過去にS$30,000以上の実績あり: ONE Pass(5年・自由度最強)
  • テック幹部経験あり、S$22,500〜S$29,999: Tech.Pass(2+2年でも充分)
  • 1社専属で働く・給与S$5,600〜S$22,499: EP
  • シンガポールで起業する: EntrePass(給与不問・EntrePass記事

よくある質問(FAQ)

Q1. テック企業の定義は?

EDBの基準では、Software/SaaS/FinTech/HealthTech/GreenTech/DeepTech/AI/Blockchain/IoT/Cybersecurity などの分野で、収益・調達額・ユーザー規模などから「テック企業」とみなされる会社。Google、Meta、Amazon、Stripe、Notion、Wise、Grab といった主要企業はもちろん、評価のあるスタートアップも含まれます。

Q2. 中小スタートアップでの経験は認められる?

認められますが、「プロダクト実績」(MAU 10万 or 収益US$100M)の基準を満たす必要があります。中小規模で過去にユニコーンを作った起業家、Exit経験者、上場経験者などが該当。スタートアップでの「リーダー実績」が EDB に評価されるかは、提出資料の作り込み次第です。

Q3. Tech.Pass は「縮小される」と聞いた

シンガポール政府は2024年以降、就労ビザ全体を再整理する方針を発表しており、Tech.Pass も対象。ただし2026年4月時点で Tech.Pass は引き続き運用中。新規申請も受け付けています。今後 ONE Pass や別制度への統合が議論されているので、興味があれば早めの申請がおすすめです。

Q4. 配偶者・子供は連れていける?

はい、Tech.Pass holder は EP と同様に配偶者・21歳未満の子をDPで呼び寄せできます。Tech.Pass の給与水準は基本的にDP sponsor のS$6,000要件を超えるため、家族呼び寄せは問題ありません。詳しくはDP/LTVP完全ガイドを参照してください。

Q5. 日本のIT大手社員でも取れる?

給与基準(過去S$22,500/月=年俸約3,000万円)と役職を満たせば取れます。日本円換算で月給350万円以上が要件なので、外資テック日本法人のシニア・幹部、もしくは日系大手のVP・本部長クラスが現実的なライン。実際にこの水準で日本→シンガポールに移った方を私の周りで何人か知っています。

まとめ|テック人材のシンガポール移住パス

  • 過去給与S$22,500/月+テックリーダー経験+プロダクト実績の2つ以上を満たす
  • 有効期間2年+2年延長(合計最大4年)
  • 複数雇用・起業・取締役兼任・大学講師・投資の5つの経済活動すべてOK
  • 申請料 S$105 + 発行料 S$225(合計S$330)
  • EDB主導の審査でMOMより柔軟
  • 家族(DP/LTVP)も同時に sponsor 可能

Tech.Pass はシンガポールが「世界中のテック人材を集めたい」という意思で2021年に作った制度で、現在も主要なテック移住ルートの1つです。給与・実績・プロダクトのいずれかで強みがあれば、EPより圧倒的に自由度が高い選択肢として検討の価値があります。シンガポールビザ全体の比較はシンガポールのビザ種類を徹底比較でまとめています。

※本記事は2026年4月時点のEDB・MOM公式情報を元に作成しています。最新の要件はEDB公式 Tech.Passページでご確認ください。本記事は法律相談・税務相談を提供するものではありません。

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この記事を書いた人

シンガポール在住の外資系OL。移住のリアルを現地から発信しています。

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