シンガポールの税金まとめ【所得税・GST・CPFをわかりやすく解説】

シンガポールの税金まとめ【所得税・GST・CPFをわかりやすく解説】

結論から言うと、シンガポールの税金は日本と比べてかなりシンプルで、税率も低いです。私は外資系企業のEP(Employment Pass)ホルダーとして働いていますが、初めて確定申告したときは「え、これだけ?」と拍子抜けしました。

ただ、所得税・GST・CPFなど制度ごとに「外国人に適用されるもの」と「市民・PRだけのもの」があって、最初は混乱しがちです。この記事では私自身の経験をもとに、シンガポールの税金の全体像をまとめました。

目次

シンガポールの所得税:累進課税で0〜24%

シンガポールの所得税は、日本と同じく累進課税です。ただし税率は日本よりかなり低く、最初のS$20,000(約220万円)は非課税。これが大きいです。

YA2026(2025年の所得に対する課税年度)の税率表はこちらです。

課税所得(S$) 税率
最初の20,000 0%
20,001〜30,000 2%
30,001〜40,000 3.5%
40,001〜80,000 7%
80,001〜120,000 11.5%
120,001〜160,000 15%
160,001〜200,000 18%
200,001〜240,000 19%
240,001〜280,000 19.5%
280,001〜320,000 20%
320,001〜500,000 22%
500,001〜1,000,000 23%
1,000,001以上 24%

正直に言うと、年収S$80,000(約880万円)くらいまでなら実効税率はかなり低いです。しかもYA2026では個人所得税リベートとして税額の60%(上限S$200)が自動で還付されます。

税務居住者の判定:183日ルール

シンガポールの所得税で最も重要なのが「税務居住者(Tax Resident)」かどうかの判定です。

  • 税務居住者:シンガポールに年間183日以上滞在した外国人、またはシンガポール市民・PR
  • 非居住者:年間183日未満の滞在(短期赴任など)

EPホルダーで通年働いている場合はほぼ確実に税務居住者になるので、上の累進税率が適用されます。1年以上の有効なワークパスを持っていれば、IRASは税務居住者として扱ってくれます。

非居住者の場合の税率

非居住者の場合、雇用所得にはフラット15%または累進税率のいずれか高い方が適用されます。短期出張者など60日以下の滞在なら免税ですが、それを超えて183日未満だと非居住者扱いになるため、意外と税負担が重くなることがあります。

GST(消費税):2024年から9%

シンガポールのGST(Goods and Services Tax)は日本の消費税にあたるもので、2024年1月1日から9%に引き上げられました。それ以前は8%(2023年)、その前は7%だったので、じわじわ上がっています。

日本の消費税10%と比べるとまだ低いですが、移住してから気づいたのは、シンガポールでは食品や日用品にも一律でGSTがかかるということ。日本のように食品だけ軽減税率8%、という仕組みはありません。ただし、輸出品や国際輸送サービスには0%が適用されます。

CPF:外国人は対象外

CPF(Central Provident Fund)はシンガポール版の社会保険制度で、年金・住宅・医療の3つの口座に積み立てる仕組みです。

ここで重要なのが、EPホルダー(外国人)はCPFの対象外ということ。CPFはシンガポール市民とPR(永住権保持者)だけに適用されます。

  • 市民・PR(55歳以下):従業員20% + 雇用主17% = 合計37%
  • EPホルダー(外国人):CPF拠出なし(0%)

正直に言うと、CPFがないのは手取りが増えるメリットがある一方で、年金や住宅購入の積み立てがないことを意味します。老後資金や保険は自分で手配する必要があるので、ここは注意が必要です。なお、2026年からCPFの月額賃金上限(OW Ceiling)がS$8,000に引き上げられています。

確定申告の流れ:e-Filingで完結

シンガポールの確定申告はIRAS(Inland Revenue Authority of Singapore)のmyTaxポータルからオンラインで完結します。

  1. 3月1日〜4月18日がe-Filing期間(YA2026の場合)
  2. Singpassでログインし、myTax Portalから申告
  3. 雇用主がAuto-Inclusion Scheme(AIS)に参加していれば、給与情報は自動入力済み
  4. 控除や寄付金を入力して送信
  5. 通常、申告後1〜2ヶ月で税額通知(Notice of Assessment)が届く

私の場合、会社がAISに参加しているので、実質的には画面を確認して送信するだけ。日本の年末調整よりもずっと簡単です。期限に間に合わない場合は、myTax Portalから延長申請もできます。

外国人が使える税控除・リリーフ

税務居住者であれば、外国人でも以下の控除(Tax Relief)を利用できます。

  • SRS(Supplementary Retirement Scheme)拠出:外国人はS$35,700まで控除可能(市民・PRはS$15,300)。外国人の方が上限が高いのがポイント
  • 配偶者控除:配偶者の年間所得がS$4,000以下の場合 ⚠️ 要確認: 配偶者控除の所得上限(S$4,000またはS$8,000)
  • 子ども控除(QCR):条件を満たせば利用可能
  • 寄付控除:認定団体への寄付は250%の控除が受けられる
  • 生命保険料控除:CPF拠出がS$5,000未満の場合に利用可能(EPホルダーはCPF拠出がないため対象になりやすい)

なお、YA2026から課程費用控除(Course Fees Relief)は廃止されています。以前は資格取得の学費を控除できたのですが、残念ながらなくなりました。

日本・シンガポール租税条約(二重課税の防止)

日本とシンガポールの間には租税条約(日星租税条約)があり、同じ所得に対して両国で二重に課税されないようになっています。1995年に発効し、2010年に改定議定書が署名されました。

たとえば、シンガポールで給与所得を得ている場合、基本的にシンガポールでのみ課税されます。ただし、日本に不動産所得や日本国内源泉の所得がある場合は日本でも課税対象になり得ます。その場合でも、外国税額控除などを使って二重課税を軽減できます。

移住してから気づいたのですが、日本の非居住者になっていれば日本の所得税は基本的にかからないものの、日本に残した不動産の賃料収入などがあると日本側でも申告が必要です。このあたりは税理士に相談するのが安心です。

退職・帰国時のタックスクリアランス(IR21)

外国人がシンガポールでの勤務を終了するとき、または3ヶ月以上出国する場合、雇用主はIRASにForm IR21を提出する義務があります。これがタックスクリアランスと呼ばれる手続きです。

  • 雇用主は退職日の少なくとも1ヶ月前にIR21を提出
  • クリアランスが完了するまで、雇用主は最終給与・ボーナスなどの支払いを保留
  • 処理期間は通常21日以内(e-Filingの方が早い)
  • 雇用主が提出を怠ると最大S$5,000の罰金

正直に言うと、この手続きは従業員側がやることはほとんどなく、雇用主が処理してくれます。ただ、最終給与が一時的に保留されるので、帰国のタイミングには余裕を持っておいた方が安心です。

シンガポール vs 日本:税負担の比較

では実際、シンガポールと日本でどのくらい税負担が違うのか。年収別にざっくり比較してみます。

シンガポール(EPホルダー) 日本(会社員)
所得税の最高税率 24% 45%(+住民税10%)
消費税 / GST 9%(一律) 10%(食品は8%)
社会保険料 なし(EPホルダー) 約15%(健保・厚生年金・雇用保険)
住民税 なし 約10%
キャピタルゲイン税 なし 約20%
相続税 なし(2008年廃止) 最大55%

移住してから気づいたのですが、シンガポールの税メリットは所得税率の低さだけではありません。住民税がない、社会保険料の天引きがない(EPホルダーの場合)、キャピタルゲイン税がない、相続税がない。これらが積み重なると、手取りベースでは日本とかなりの差が出ます。

たとえば年収S$100,000(約1,100万円)の場合、シンガポールでの所得税は約S$3,350。日本で同じ年収だと所得税+住民税+社会保険料で手取りは大きく減ります。

まとめ:シンガポールの税制は外国人にもフレンドリー

シンガポールの税金について、ポイントを整理します。

  • 所得税は累進課税で0〜24%。最初のS$20,000は非課税
  • 183日以上の滞在で税務居住者に。EPホルダーは基本的に居住者扱い
  • GSTは9%(2024年〜)。軽減税率なし
  • CPFはシンガポール市民・PRのみ。EPホルダーは対象外
  • 確定申告はIRASのe-Filingで簡単に完了。締切は4月18日
  • 日星租税条約で二重課税は回避可能
  • 退職・帰国時はIR21によるタックスクリアランスが必要

日本と比べると、シンガポールの税制はシンプルで税率も低めです。ただし、CPFがないぶん老後の備えは自己責任になる点と、GSTに軽減税率がない点は覚えておいてください。税金の詳細は毎年変わることがあるので、最新情報はIRASの公式サイトで確認することをおすすめします。

※この記事は2026年3月時点の情報をもとに書いています。税制は変更される可能性があるため、最新情報はIRAS公式サイトでご確認ください。個別の税務相談は税理士等の専門家にご相談ください。

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この記事を書いた人

シンガポール在住の外資系OL。移住のリアルを現地から発信しています。

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